漫画原作者 鍋島雅治 公式ブログ

「築地魚河岸三代目」「検事鬼島平八郎」「火災調査官 紅蓮次郎」など映画化、ドラマ化作品多数ある漫画原作者 作家のブログです。漫画、映画、日々のことなど語ります。

竹内まりあ 「駅」の歌詞について、たった一文字で解釈が180度違ってくる。

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「曇りガラス」問題に続きまして、

歌詞の解釈問題。

 

竹内まりあさんの「駅」名曲ですね。

https://www.youtube.com/watch?v=vKpIqKq3-2s

ポップで軽い感じの曲が多い竹内まりあさんですが、実はメロディがとても美しいことを改めて感じさせてくれたメロディアスでメロウな曲調、それでいて日常の中に起こった一瞬のドラマを切り取った映画的な歌詞。

テーマは「一瞬にして永遠の愛する男女のすれ違い」でしょうか。

どんな歌詞か見てみましょう。

 

「駅」

作詞作曲 竹内まりあ

 

見覚えのあるレインコート

黄昏の駅で 胸が震えた

はやい足取り まぎれもなく

昔 愛してた あの人なのね

懐かしさの一歩手前で

こみ上げる 苦い思い出に

言葉がとても 見つからないわ

あなたがいなくてもこうして

元気で暮らしていることを

さりげなく つげたかったのに。

 

二年の時が 変えたものは

彼のまなざしと 私のこの髪

それぞれに待つ 人のもとへ

戻ってゆくのね 気づきもせずに

ひとつ隣の車両に乗り

うつむく横顔 見ていたら

思わず涙 あふれてきそう

今になってあなたの 気持ち

初めてわかるの 痛いほど

私だけ 愛していたことも

 

ラッシュの人波に

のまれて消えていく

後ろ姿が やけに哀しく

心に残る

改札口を出る頃には

雨もやみみかけたこの街に

ありふれた夜がやって来る

ララララ ラララララ・・・・・

 

素晴らしい詩です。

情報量とドラマと情景がこれでもかというほど

詰め込まれていて破綻がない。

 

この中の二番の歌詞、

「私だけ 愛していたことも」

ここがとても重要なのですが、この部分の解釈が、二つに分かれてしまうのです。

つまり、

「(アナタは私を愛していなくて)私だけ(が)(あなたを)愛していたこと」なのか

「(アナタは)私(のこと)だけ(を) 愛して(くれ)ていた)」

なのか、

この「私だけが」と「私だけを」が一文字違うだけで

曲全体の意味合いが大きく変わってしまいます。

「が」だと、しょせん自分の片思いだった事を突然の再会によって、改めて思い知る歌となり、

「を」だと、本当に愛し合っていた二人が、なぜか別れてしまったのだけれどもあの愛はお互いに本気だったんだよね。それが今は自分にも分かる。

という歌になります。

まぁ歌というのは、受け手がどのように解釈しても良いような気もしますが、たった一文字でここまで解釈が180度変わってしまうのも珍しいというか、面白いので、注目してみました。

 

この部分、ネットでもあれこれ解釈が分かれるようなのですが、

 

さて、

アナタは、どっちだと思われますか?

 

ちなみにこれ、作詞者である竹内まりあさんの意図は(おそらく)ほぼ分かってはいるようです。

後でそれについても述べます。

なので、お遊びとしてお聞きしてみておりますので、その点のネタバレはご遠慮下さい。